エレベーターの秘密
僕が大学でエレベーターに乗った時のことだ
そのエレベーターには僕に加えて同級生のN君が一人と後輩だと思われる女の子が数人乗っていた
このN君という人物は、学年の中でもかなり変人である
2年生のときに彼のお気に入りの女の子の誕生日に教室でスペイン語のバースデーソングを熱唱するなどして学内の変わり者の名をほしいままにしていた
そんな終わってるN君と僕は顔見知りではあったもののエレベーターの中では特に会話もしないような間柄だった。途中の階でエレベーターが停まり、乗っていた女の子たちが降りていった。運悪く、女の子たちの集団の最後の一人が閉じてきた扉に挟まれてしまった。ていうかN君開くボタン押してやれよ悲鳴上げてたぞあの子
扉が閉まり、再びエレベーターが階下に向かいはじめるとN君は深いため息をつき、つぶやいた
「やれやれ、やっぱりドアの銀色の部分を抑えればドアは閉まらないってことを知ってるのは俺だけみたいだな」
すごい知ってた。多分だけど、さっき降りて行った女の子たちも知ってるぞ
だとしても開くボタンは押してやれよ
興味本位で彼がいつその秘密に気付いたのか聞いてみることにした。
N君のことだ、「産まれる前から」とか答えてくれるんだろう。少しワクワクしていた
すると彼はとびきりの秘密を打ち明けるように言った
「先月位だよ」
めちゃくちゃ最近じゃねえか。